人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。国立がん研究センターによれば、40~49歳のがん患者数は、30~39歳と比べると3倍以上です。
「高齢者に大きなメリットがあるのに、意外と知られていないワクチン」が2つあります。
それは「肺炎球菌(はいえんきゅうきん)ワクチン」と「帯状疱疹(たいじょうほうしん)ワクチン」です。
肺炎球菌とは、体に侵入すると肺炎を起こす細菌です。症状が悪化すると肺から血液まで菌がまわる「菌血症(きんけつしょう)」という状態になり、約3人に1人が亡くなるといわれています。高齢者にとってまさに致命的な感染症です。
肺炎球菌は子どもの鼻やのどに常在していることが多い菌なので、「おそらくワクチンによって子どもから高齢者への感染が減った影響ではないか」といわれています。日本人についてのエビデンスがまだ出揃っていないため、現段階では高齢者に対しては「任意接種」になっています。
この肺炎球菌に対するワクチンが日本では「23価肺炎球菌ワクチン」と「13価肺炎球菌ワクチン」という名称で2種類承認されています。エビデンスが揃っていて、定期接種になっており、安価で、明らかに打ったほうがいいのは23価です。13価のワクチンもある程度の費用はかかりますが、感染したときの重症化リスクの高い「持病のある人」は打つべきであると考えています。
高齢者にオススメのもう1つのワクチンが「帯状疱疹(たいじょうほうしん)ワクチン」です。多くの人が小さいときに「水ぼうそう」にかかったと思いますが、あの水ぼうそうの原因の「水痘(すいとう)帯状疱疹ウイルス」をおさえるワクチンになります。
このウイルスは、症状が治ってからも「神経におとなしく潜伏する」という特性があります。小さいときにかかった水ぼうそうとは違い、「帯状疱疹」という体や顔の一部の神経に沿った赤い発疹として出現します。顔に出ると目の周囲に感染し失明することがあり、脳へ直接感染することもあります。
ワクチンを打つことで、ウイルスに対する免疫機能を強くし、再活性化のリスクを下げたり、罹った際に後遺症の神経痛の頻度を下げたりすることができます。カリフォルニア大学の研究でも、「高齢者がこの帯状疱疹ワクチンを打って発症率が約半分になり、後遺症の神経痛も約60%抑えることができた」というデータがあります。
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