高齢者4人に1人が労働者。少子高齢化社会はどうなるのか考えよう

敬老の日に合わせて総務省は65歳以上の高齢者の人口推計を公表しました。その数は3640万人で、総人口に占める割合は29.1%となり、それぞれ過去最高を更新しました。今後も上昇を続け、第2次ベビーブーム世代が65歳以上となる2040年には35.3%になる見込みです。

日本の高齢化率が上がる原因の一つは、日本人の平均寿命が延びていることです。20年の日本人の平均寿命は、女性は87.74歳と8年連続、男性は81.64歳と9年連続で過去最高を更新しました。

江戸幕府を開いた徳川家康は75歳まで生き、当時としては驚くほどの長生きだったといわれます。江戸末期に生まれ、明治、大正、昭和を生き、日本資本主義の父といわれる渋沢栄一は91歳まで生きましたが、こちらも当時としてはめずらしい長寿でした。でも、75歳とか91歳とかいっても、今は驚く人はいません。

平均寿命が長いのは栄養状態がよく医療が整っている豊かな国が多く、平均寿命が短いのは貧しかったり戦乱が絶えなかったりする国が多くなっています。

世界保健機関の調べによると、平均寿命50.7歳のレソト、53.1歳の中央アフリカ共和国、56.5歳のソマリアなど、50歳代の国にはアフリカの国が並んでいます。

広島市の安佐動物公園に50年前の開園時からいる長寿で現役のチリーフラミンゴ=2021年9月19日、松尾葉奈撮影

厚生労働省によると、2020年に国内で生まれた日本人の子どもは84万人で、過去最少となりました。戦後まもない1949年には約270万人が生まれていたので、3分の1以下になったことになります。もとからある減少傾向にコロナ禍が追い打ちをかけた格好で、80万人を割るのではないかとみられています。

「支え手」を増やす三つの方法 こうした少子高齢化傾向は、日本ほどではなくても世界の先進国や急成長をとげた国に共通する問題です。1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の平均を合計特殊出生率といい、それが2.07を上回らないと人口は減少傾向になるとされます。世界銀行がまとめた各国の合計特殊出生率を見ると、先進国で2.07を上回っている国はありません。

人口が増えすぎるのを防ぐため長く「一人っ子政策」をとっていた中国は1.7と人口が減り始めることを示す数字となっています。中国政府は政策を転換し、3人まで産むことを認めることにしました。国が貧しいうちは労働力としての子どもを必要としますが、国が豊かになると、子どもを育てるために必要なお金や労力が増え、子どもを産み育てる意欲が減退するようです。

少子高齢化は地球の資源が有限であることを考えれば、理にかなったことではありますが、一国の経済にとっては大きな問題となります。これからも生産年齢人口は減り、高齢者は増えますので、「働く1人が高齢者1人」を支える時代になりかねません。この支える人と支えられる人の割合を変えるには、支える人、つまり働く人を増やすか、支えられる人、つまり働かない人を減らすかしかありません。

働く人を増やすには、(1)外国人にもっと来てもらう(2)女性にもっと働いてもらう(3)高齢者にもっと働いてもらう、の三つがあります。

女性についてもすでに働いている人は多く、決め手になるとは思えません。政府もそこに目をつけ、70歳まで働く機会を提供するよう企業に求める改正法が今年4月に施行されました。

高齢者の就業率は今年初めて「4人に1人」になりましたが、政府の後押しにより、これから3人に1人、2人に1人と上がっていくことが予想されます。長生きを素直に喜べる社会にするには、高齢者に働き続けてもらうしかないというのが、現状の政府の答えのようです。

出典元:https://www.asahi.com/edua/article/14445537

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