自宅近くまで迎えに来てくれる乗り合いタクシー「むすブン」(乗客4人乗り)を兵庫県西脇市が4月に導入したところ、お年寄りを中心に需要がうなぎ登りで、市が想定した倍の早さで15日には利用者が1万人に達した。
市は健康で生き生きと暮らせる地域社会を目指しており、乗り合いタクシーをお年寄りの外出を促す重要な柱に位置づけている。
利用が低迷していた地域交通を見直し、市民ニーズを徹底分析したことが需要の掘り起こしにつながった。市は3月まで市内でコミュニティーバスを運行していたが、便数が少なくバス停も遠いことなどから利便性が低かった。
市の調査では、車を利用できない人ほど外出は少なく、高齢者の4割超が「(家族に)送迎してもらうのが大変」「目的地に行く鉄道やバスがない」と回答。市は、高齢化率が約20年後に40%超となると予想されていることから、19年に「市地域公共交通網形成計画」を策定し、交通体系を抜本的に見直すことにした。
乗車1回の利用料は65歳以上が200円、中学生以上64歳以下が400円など。市が委託したタクシー会社2社が平日は午前7時半~午後5時半、土曜は午前8時半~午後0時半に5台を運行している。むすブンは車椅子ごと楽に乗ることもでき、4月に940人だった乗客は8月に3倍近い2672人に。
周辺自治体からの視察も相次いでおり、計画を進めた市次世代創生課の徳岡和秀課長は「日本での公共交通は『民間が手がけて黒字にするもの』との考え方が支配的だったが、西脇市の新計画では『公共交通はインフラ(社会基盤)で、公共事業の対象』とする欧州の考え方を取り入れた」といい、「現状分析をしっかり行い、地理的特性なども考慮してこの地に合った交通体系は何かを追求した」と見直しのポイントを語った。
出典元:https://mainichi.jp/articles/20210924/k00/00m/040/057000c
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