「ようこそバラライカへ」。仙台市宮城野区の市生涯学習支援センターで7月半ばにあった臨時うたごえ喫茶は、陽気な掛け声で始まった。会場には中高年の男女約30人。「河は呼んでいる」「浜辺のうた」といった、主に昭和期の1950~60年代に流行した懐かしい歌曲に、表情を輝かせた。
「うたごえ喫茶バラライカ」創業者の南部敏郎さん(68)がアコーディオンなどを演奏。軽妙なトークを交え、およそ2時間で約20曲のフォークソングやロシア民謡などを披露し、盛り上げた。
宮城野区にあった店は今年3月末に閉店。6月に市民センターなどで臨時喫茶を始めた。大勢で歌うのが「うたごえ」の醍醐味(だいごみ)だが、新型コロナウイルスの感染対策で、参加者にはマスクを着け、声も控えめを心掛けてもらっている。
臨時喫茶は毎回、50~80代の男女で大にぎわい。敏郎さんの三男で現店主の大地さん(31)は「『これがなくなったら死ぬ』と冗談を言う常連もいるので、次の店が決まるまでの苦肉の策です」と話した。