大名跡「文吾」襲名へ 落語家・六代目桂小文吾さん

山陰で活動する落語家の六代目桂小文吾さん(84)=鳥取県米子市=が、9月に同市内で行う舞台を皮切りに上方落語の大名跡で、50年間空席だった「桂文吾」を名乗る。襲名披露は来年春以降に行う。小文吾さんは「縁あって弟子ができたおかげで名跡を残すことができる」と話している。

小文吾さんは京都市出身。14歳で五代目桂文吾(1971年死去)に弟子入りし、翌年から六代目小文吾として高座に上がった。その後、劇団「宝塚新芸座」に移り約8年間在籍。27歳で米子市に移住し、温泉施設「皆生温泉ヘルスランド」の社員となった。落語から長らく遠ざかったが、人間国宝だった故桂米朝さんの励ましもあり、2000年の退職を機に同市で活動を再開した。

桂文吾は、京都の寄席で真打ちとして活躍した四代目(1902年ごろ襲名)が有名。古典落語の大ねた「らくだ」を完成させた。小文吾さんは六代目文吾となる。

改名のきっかけは、ただ一人の桂文吾一門だった小文吾さんに昨年、弟子ができたことだった。鳥取市出身の桂吾空さん(26)で、吾空さんの襲名への進言が背中を押した。

活動を再開して以降、跡を継ぐことを考えたこともなかったという小文吾さん。「跡継ぎができたおかげで、残さないといけない大きな名前だということに改めて気付いた」

米子市が拠点であっても、上方との縁も続いていた。上方落語協会会友として定席の天満天神繁昌亭(大阪市北区)で演じたり、2014年に四代目ゆかりの西念寺(京都市)であった百回忌法要落語会に出演したりしている。同協会元会長の故露の五郎兵衛さんは、文吾を継ぐのは小文吾しかなく、襲名の口上は自分が行うとまで話していたという。

小文吾さんは地域での公演活動をはじめ、米子市児童文化センターで長年子どもたちに落語を指導、シニアを中心とした劇団「笑劇座」も率いる。六代目文吾となっても活動拠点は米子に据える。「四代目の評価を高めた『らくだ』も自信を持って披露できるようになった。地域への恩返しとして多く人に知ってもらいたい」と話している。

出典元:https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/210901/20210901017.html

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