食欲不振、飲み込みにくい…高齢者の食悩みへの対処法「油分の減らしすぎは便秘に」

介護が必要な高齢者にとって、「食が細くなった」「食べ物を飲み込みにくい」など“食”に関する悩みは多い。管理栄養士として長年介護食にかかわってきた専門家に、食欲不振などの解決策を聞いた。

「介護が必要な高齢者にとって最初にぶつかる悩みかもしれませんね」 語るのは、高齢者施設の食事改善や安全な食事提供のためのサポートを行っているヘルシーオフィスフー代表の徳田泰子さんだ。食に関する事例ベスト3について解説いただいた。

◆1位 食欲不振

「 エネルギーの補充はどうすればいいのでしょうか」という悩みは多くの方が抱えています。 高齢になって身体機能が低下していくと、活動量も減りますので、食欲が落ちるのは自然なことですが、心配になりますよね。1回に食べられる量が減っているなら、3度の食事だけで栄養を補おうとせず、間食を活用する方法もあります。

同じ食材でも調理法によってエネルギーを増やすこともできます。里芋は煮物ではなく、ひき肉のあんをかけて、里芋のそぼろあんかけにすることでたんぱく質をプラスできます。

ほかには、焼き魚やお肉でも卵で衣をつけたピカタにすることでエネルギーもアップします。調理方法にひと手間加えることで、おいしく栄養アップすることを考えて見ましょう

◆2位 飲み込みにくい

続いて多いのが、咀嚼嚥下(そしゃくえんげ)機能が低下して噛んだり飲み込んだりしにくいというお悩み。「飲み込みやすくする調理方法はいくつかあるので、覚えておくといいですね」

食べやすくする5つの方法

・とろみをつける…口の中でまとまりやすいように片栗粉や市販のとろみ剤(増粘剤、とろみ調整食品)でとろみをつけて食べやすくする。

・固める…ゼラチンや寒天、ゲル化剤(固形化調整食品)などを使って食材を固めてのどの通りをよくする。

・油脂を使う…少量の油脂は、食材をまとめやすくしてくれる。

・つなぎを入れる…小麦粉、片栗粉、卵、長芋のすりおろしなどつなぎを使うことで食材をまとめ食べやすくする。

・適度な水分を加える…パサついているものは、しっとりさせてから。

◆3位 糖質制限食が大変…

「高齢の親が糖尿病で、食事制限が必要だという悩みもとても多いんです。 糖尿病は、その人の症状にもよるので、解決策も人それぞれで異なってきますが、総じて言えるのは、バランスのよい食事を心がけること」

朝はパンだけ、お昼はおそばやうどんで済ませてしまうなど、意外と糖質過多の食事になりがち。

その方の症状にもよるのですが、厳格な食事制限よりも、楽しくおいしく食べられる食事の工夫が大切だと思います」

◆高齢者の食事作りでやってはいけない3つのこと

1.減塩を気にしすぎておいしくなくなる

「高血圧の対策にと、減塩をする場合がありますが、塩分を減らして薄味にするだけでは、おいしく感じなくなってしまい、かえって食が進まないということも。 塩分を減らしてもおいしく食べられるよう調味にひと工夫してみてください」

2.油分を減らしすぎて便秘の原因にも

「年を取ると脂っこいものが苦手になるだろうと、油分を控えすぎるのも考えものです。たとえば、便秘の原因には、水分や野菜が不足のほか、油分が足りないことが原因のことも」

3.なんでも流動食にして味気なくなる

「歯茎で噛めるのにすべてミキサーにかけてやわらかくしてしまうと、どんどん咀嚼嚥下機能が低下してしまうことも。食材はある程度噛み応えを残すことも大事。食べる楽しみを感じられることが大切です」

食事そのものの味も大切ですが、食べる環境、食事の温度、食感、見た目(器、色合い)なども重要な要素。食事環境を整えることで食事がより一層おいしく、楽しい時間になり、食べる意欲にもつながる。

出典元:https://www.news-postseven.com/kaigo/99265

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