人生100年時代。シニア世代に入ってからも、まだまだ元気で自由な時間は長い。そんな老後の生きがいと経済的な支えを求めて、起業する人が年々増えている。スキルや経験、コネがなくても成功した人たちの、「うまくいった」背景とは?
シニア起業は今後も増えるのか? その実態を、起業支援の第一人者である銀座セカンドライフ代表取締役の片桐実央さんに聞いた。
現在は定年が後ろ倒しになり、働く期間が長引いている。 老後資金がより多くかかる「長生きリスク」が、シニア世代を悩ませる不安材料のひとつだ。
バブル崩壊後の’91年、起業家の平均年齢は38・9歳だったが、長い時間をかけてこの平均年齢は徐々に上昇。 2020年の起業家平均年齢は43・7歳、50代以上の起業家は全体の26・3%を占める。
60歳を超えると再雇用の対象になる人が増えるが、正社員ではなくなったことで副業が解禁され、会社勤務+起業のWワークに取り組むケースも増加している。 経済産業省は開業率を10%にする目標を掲げ、起業を後押ししている。
地方自治体などはさまざまな起業を支援する制度を作り、起業する人を増やそうとしている。起業というと、女性にはハードルが高いイメージだが、実際はない。
「子育てが一段落したタイミングで自分の人生を取り戻したくなるのでは」 片桐さんはそんなごく普通のシニアでも起業できる「ゆる起業」を提唱している。
「本当にしたいと思えること、やりがいを感じること、経験を活かせること、利益を追求しないこと、健康があること。これまでの人生経験を活かしてサービスを提供し、人から直接感謝を伝えられるのがうれしいという方が多いです」大企業で働くほど消費者の顔は見えなくなり、家事や育児に奮闘しても感謝を伝えられることは少ない。女性が起業しやすい事業は、女性ならではの経験を活かしたものともいえる。
「男女ともに開業しやすいのは、コンサルタントなど資金がかからないビジネスです」 過去の経験を活かせることを探せば、自分ならではの起業スタイルが見えてくる。