新型コロナウイルスのパンデミックのさなか、米国では高齢者を標的にしたロマンス詐欺が急増したことが、2021年9月23日に開かれた米上院高齢化委員会で報告された。
求婚者を装った詐欺師から高齢者が被った被害額は、2020年に連邦取引委員会に報告された分だけで1億3900万ドルに上り、2019年の8400万ドルを上回った。
高齢化委員会の委員長ボブ・ケイシー(民主党・ペンシルベニア州選出)はさらに、家族や友人と連絡を取り合う機会が減ったせいで、小さな詐欺が大きな詐欺に発展しやすくなり、いかさまの治療法を売りつけられたり、財産をだまし取られたりすることにつながったと続けた。
同委員会ランキングメンバー(少数党筆頭委員)である共和党上院議員ティム・スコット(サウスカロライナ州選出)は、高齢者を標的にしたロマンス詐欺が大幅に増加したことに関して、高齢者は孤立して孤独感を感じており、ロマンス詐欺のような詐欺に引っかかりやすい可能性があると指摘した。
60歳から69歳、ならびに70歳から79歳の高齢者がFTCに報告した詐欺被害のうちで最も多かったのがロマンス詐欺だ。
「2020年には、高齢者による銀行振り込みや支払いが倍増し、暗号通貨による支払いの報告件数は3倍以上に膨れ上がったが、その大きな要因が詐欺だ」
グレイスマンによれば多くの被害者が、ロマンス詐欺師は、パンデミックのせいでお金が必要になったと主張したり、直接会うことはできないと話したりしていたという。
「新型コロナウイルスのパンデミックによって、感染者や死者が多数出たことに加え、社会的に孤立したり、ソーシャルディスタンシングの措置が取られたりしたことで、高齢者をターゲットに絞った特定の詐欺が増加する土壌が生まれた」
商事改善協会(BBB)のBBBマーケットプレイス・トラスト協会が発表した報告書によれば、55歳から64歳の高齢者にとって、パンデミック中に最もリスクが大きかった詐欺がロマンス詐欺だった。
上院議員リック・スコット(共和党・フロリダ州選出)は、ロマンス詐欺がとりわけ厄介なのは、警察が犯人を特定するのが困難なことだと述べた。
公聴会では、ロマンス詐欺の被害者としてケイト・クレイナートが証言し、詐欺被害を警察に届け出たが、取り合ってもらえなかったと訴えた。夫に先立たれたクレイナートは、詐欺師に渡した3万9000ドルを取り戻す手段や、相手に責任を負わせる手段がないことにいらだちを覚えた、と公聴会で証言した。