東京都健康長寿医療センターは、高齢者の通いの場など地域で活用できる、低栄養予防のためのパンフレット「おいしく食べて低栄養予防」を作成した。
肥満やメタボに対策するため、一般に低カロリー食品が好まれるようになった影響で、「脂っぽいものはできるだけ食べない」「食事では食べ過ぎない」「食事回数を減らす、ときには1日2回も」といったように、粗食を実践している人は多い。
日本人は性別や年代によっては痩せ傾向が多くみられ、欧米人のカロリー制限などの肥満対策は日本人にとっては適切でない場合がある。フレイルやサルコペニアを予防するために、いろいろな食品を食べ、栄養状態を良好に保つことが必要だが、高齢者の食生活では、いも類、海藻類、肉類など、毎日食べている割合が少ない食品がみうけられる。
後期高齢者の質問票から、▼1日3食食べていますか、▼6ヵ月間で2~3kgの体重減少がありましたか、▼半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか、▼お茶や汁物でむせることはありますかという4項目を取り出し、高齢者自身が栄養・口腔の状態をチェックできる内容になっている。
厚生労働省は2019年度に健康寿命延伸プランを定め、男女ともに健康寿命を3年以上引き延ばすことを目標に掲げた。そこで同センターは、2019年度と2020年度に、厚生労働省度老人保健健康増進等事業により、会食を行う通いの場の実態把握、そこに参加する高齢者の栄養状態などの調査を行った。
その結果、会食を実施している通いの場に、保健師、管理栄養士などの専門職が関わることで、栄養状態や摂食機能に応じた食事提供や食事中のムセなどへの配慮が行われていることが明らかになった。
通いの場参加者の実測調査にもとづく結果から、通いの場に参加する高齢者では、客観的には摂食機能が低下しているにもかかわらず、本人にはその認識がないといった、自己評価と客観評価の乖離が認められた。
これらの結果から、「おいしく食べて低栄養予防」パンフレットでは、通いの場に参加する高齢者自身が自分の栄養状態を把握し、口腔機能の低下や低栄養について自分のこととして理解できる内容を目指したという。
出典元:https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2021/010144.php
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