皆さん、温泉が高齢者のうつ病予防に役立つ可能性があることをご存知ですか? 九州大学病院別府病院(大分県別府市)が行った調査では、毎日の温泉入浴がうつ病の予防に繋がる可能性があることが示唆されています。
うつ病は高齢者の深刻な問題であり、認知症を併発することも多いです。山崎聡講師は「入浴習慣を見直し、効果的な入り方を実践してほしい」と話しています。
毎日の温泉入浴がうつ病予防に効果的と考えられる一つの理由は、温熱作用により体が温まり、心身の緊張がほぐれてリラックスし、睡眠の質が上がることです。家庭のお風呂の場合、温熱効果は30分程度しか続きませんが、温泉の場合は約12時間持続するとされています。
また、温泉に含まれる硫化水素ガスにはリラックス効果があるとされており、湯に浸かりながら他の利用者との交流もうつ病予防につながると考えられています。
もし毎日の温泉利用が難しい場合でも、家庭の入浴でも睡眠の質を上げる効果的な入り方があります。就寝の1~2時間前に入浴し、38度のぬるめの湯なら25~30分、42度の熱めの湯なら5分程度、湯に浸かって体温を少し上げることがポイントです。半身浴でも効果があり、約40度の湯に30分が目安です。
さらに、温泉入浴の前後も血圧の急激な変化に注意し、入浴前後の血圧測定と小まめな水分補給が推奨されています。しかし、うつ病の診断を受けている人や不安を感じる人は、環境の変化や人との接触が逆効果になることもあるため、まずは精神科医に相談することが重要です。
山崎講師は、「健康寿命を延ばし、精神的にも元気でいたい人は今日からでも入浴習慣を見直し、さらに可能であれば温泉を利用してみてください」と助言しています。
温泉はただのリラクゼーションスポットだけではなく、高齢者のうつ病予防に貢献する可能性があることを忘れずに、積極的に温泉入浴を楽しみ、健康寿命の延長に役立ててみてください。