高齢になるほど、自宅内での転倒事故などが多く発生します。自宅への居住をやめ老人ホームへ入居することを選択する方は別ですが、自宅内での事故などが起こらないため、長年住んでいる自宅を改修し、バリアフリー化することも必要になります。
自宅での事故は非常に多い 高齢になるほど足腰などが弱ってくるため、自宅内での事故が多くなってきます。特に若い時には何でもなかったことが、高齢になるとともに以前の対応能力がなくなります。
段差につまずいて転倒する、階段の上り下りの際に踏み外す、冬の浴室の脱衣所で気分が悪くなる、などといったことが起こります。政府の「高齢社会白書」を見ても、65歳以上の方の事故に遭う場所の約7割が「自宅内」となっています。
築20年、築25年程度の住宅でも、バリアフリーを意識して設計していないケースもあり、自分が高齢になることではじめて、バリアフリーの重要性に気づく方もいらっしゃるのではないでしょうか。
バリアフリー住宅を購入する、介護施設へ入居する、といった方は別ですが、自宅に住み続ける方は、住宅の改修が不可欠です。段差をなくす、手すりを付ける、引き戸に変更する、動線を短くする、などの具体的な変更を部屋ごとに進める必要があります。
一戸建て住宅であれマンションであれ、部屋の間取りの変更を含めた全面バリアフリー化の工事となると、ケースにより1000万円近くの費用がかかるかもしれません。本格的工事を行わなくても、玄関・廊下、寝室、浴室、トイレ、居間など個別に行うと、それぞれ平均的に10~80万円程度の経費が必要になる可能性があります。
可能な限り修繕箇所を洗い出し、緊急性の高い場所から優先順位を決め、徐々に進めるかは、予算などの事情で決める必要があります。高齢になればなるほど、介護に備える必要があり、足腰に支障が出てきても、できる限り自宅内を移動できる工夫が不可欠になります。
寝室とトイレの動線を短くする、畳の寝室での布団の上げ下ろしをベッドに変える、といったことは、まず実現したい項目です。2階建ての住宅では、1階スペースで生活できるようにする、介護ベッドを置く部屋を決め、介護をしやすくすることも大切なポイントです。
もし、突然の骨折や認知症の発症などにより「要介護」の認定を受けると、多くの自治体ではバリアフリー化の工事に対する補助金制度があります。申込期間などのタイミングにもよりますが、受けられる補助は受けたいものです。
優先順位を決め各部をリフォーム 全面改修ではなく、可能なところから改修していく際の注意点を考えてみましょう。
多くの方は高齢になるにつれ足腰が弱ってきます。布団で寝起きしていた方は、ベッドに変えるだけでも楽になる可能性があります。居間や廊下については、段差をなくすことが基本です。開き戸になっている部屋では、扉の開閉を止めるため、ほとんど段差があります。段差をなくす、可能であれば引き戸に変えるなどの工夫をしたいものです。
外出などの機会がある場合は、玄関の段差をなくし、必要な箇所に手すりを付けます。 玄関外のアプローチについても、段差があればスロープに変更する、手すりをつけるといった工事が必要になります。
全面リフォームとなると、一時的な引っ越しなども必要なため、体力的な負担が大きくなります。足腰が弱ったために階段で2階へ上がるのに苦労するようでしたら、1階の居間を改修して寝室として使える工事が第一になります。
工事費用に関しては、それぞれの場所で、最低でも20万円、居間を寝室に変更するなどの手間のかかる工事になると100万円前後が必要になるかもしれません。 どうしても改修が必要な場所から、見積もりを取って順次進めることをお勧めします。