別居しながら介護を試みるライター島影真奈美さんは、「もめない努力は、親の為ならず」を掲げ、愛と笑いのある介護のコツを収集中です。
「いまあるカレンダーだと予定が分からず、お困りのようなんです」 ある日、義父母を担当してくれているヘルパーさんに、耳打ちされました。
当時、義父母は、
[1]日めくりタイプのカレンダー
[2]月間カレンダー(日付のみ・予定の記入欄なし)
を愛用していました。電話の横には
[3]月間カレンダー(予定記入欄あり)も
かけてあり、電話をしながらメモする場所としても、使われているようでした。
でも、日めくりタイプは、めくるのを忘れる日があるのか、1カ月以上前の日付になっています。義父に尋ねましたが、そのたびに「そのままにしておいて」と言われます。 とっておいたところで見返すことはなさそうですが、義父としては捨てるわけにはいかない大切な記録のようです。
[2]の月間カレンダーは、日めくりタイプよりはこだわりがないようです。ヘルパーさんが来たときに「月が変わったので古いものは切り取りますね」と声をかけたら、機嫌よくOKしたとのこと。
義父母とのおしゃべりをもとに推理すると、これまでは、日々の予定を日めくりで管理し、月単位や年単位のざっくりしたスケジュールの流れは[2]の月間カレンダーで大まかに理解。突発的に差し込まれる予定はたいてい電話で知らされるので、電話横にある[3]の月間カレンダー(予定記入欄あり)で把握していたようです。
ただ、加齢と認知症の両方から来る「もの忘れ」が増え、義父母にとってスケジュール管理は難しくなりつつありました。
カレンダー選びなんて簡単そうに思いますが、もの忘れがちょこちょこ出始めた高齢者の二人暮らしにぴったりなカレンダー選びとなると、ひと筋縄ではいきません。
・曜日と数字が大きくて見やすい
・予定を記入する欄が大きめ
という条件で探しましたが、これが意外と難しい。ちょうど秋口に差し掛かったころ、という中途半端なタイミングだったこともあって、かなり苦戦しました。
Amazonで、これならいけそう!というカレンダーを見つけ夫の実家へ。しかし、落とし穴がありました。
このカレンダー、「日曜」始まりはすでに売り切れており、私が購入したのは「月曜」始まり。義母がヘルパーさんに「このカレンダー、ちょっとヘンなの」「とっても見づらくて……」と文句を言いまくっていたことが、のちに判明。
時期も時期で、替えのカレンダーを見つけるのが難しかったため、思い切って「1カ月ごとにカレンダーをプリントアウトする」という作戦でしのぐことに。
なるべく文字が大きく、太く、くっきりしていて見やすそうなデザインを選び、ダウンロードしたPDFファイルをA3用紙に印刷すれば、できあがり!
この作戦はのちに、義父が入院したときも大いに役立ちました。ベッドからも見やすい位置に印刷したカレンダーを貼り、入院日やお見舞いに来た日を書き込むことで、義父の不安をやわらげることができたのです。
こうして、義父母が使っていた[1]日めくりタイプのカレンダー、[2]月間カレンダー(予定記入欄なし)、[3]月間カレンダー(予定記入欄あり)は、役目を終えました。
「いまのままでいい」をうのみにするのではなく、生活に支障をきたす部分にはちょっと手を加えてみる。 行きつ戻りつしながら、親がこだわりたいポイントを少しずつ理解していくことは、お互いのストレス緩和にも役立つのではないかと考えています。