県民生協の介護拠点施設「丹南きらめき」(福井県越前市家久町)に集うメンバー(利用者)の認知症の高齢者たちが、市内のスーパーで、買い物代行サービスの配達業務に当たっている。事業所同士の連携で有償の業務委託が実現。働くことを通じて地域での役割を感じ、生き生きとした日々を過ごしている。
県民生協のスーパー、ハーツたけふ(同市芝原4丁目)が昨年11月の買い物代行サービス開始に合わせ、丹南きらめきの認知症対応型デイサービス「BLG丹南」に配達業務を委託した。月~金曜の配達に当たるのは60~80代のメンバー11人。BLG丹南のスタッフが運転する車に乗って市内を巡回し、注文があった総菜や食材、日用品などを各戸に届ける。
丹南きらめきの渡辺丈大副施設長は「認知症に対して世間からはまだネガティブなイメージがあって、当事者が人との関わりを遮ることにもつながってしまう」と指摘する。役割と居場所を感じられる機会を増やすことで「認知症になっても自分らしく暮らせる社会の実現を目指していきたい」と考えている。