耳の聞こえにくい高齢者などに役立ててもらおうと、耳付近の軟骨を振動させて音を伝える「軟骨伝導」の技術を使ったイヤホンが、都内の信用金庫で試験導入されています。
個人情報を周囲に聞かれるリスクを減らす効果も期待できるとしていて、7月中にすべての店舗に導入する予定だということです。
「軟骨伝導」のイヤホンを導入したのは、東京 品川区に本店を置く「城南信用金庫」です。
「軟骨伝導」は、耳の入り口付近にある軟骨に振動が当たって耳の中に音源が発生すると、そこから空気の波を通じて鼓膜が震え、音が聞こえる仕組みです。
この信用金庫では、耳の聞こえにくい高齢者などのために、先月下旬から本店で試験的に導入し、窓口で職員とやり取りする際に使ってもらっています。
利用した80代の女性は「とてもよく聞こえます。これからだんだん聞こえにくくなるのでイヤホンがあると楽になります」と話していました。
イヤホンを使うことで、大きな声で話す必要がなくなるため、個人情報を周囲に聞かれるリスクを減らす効果も期待できるとしていて、職員によりますと、声を張らなくても一度で意思の確認ができるようになったといいます。
担当職員は「コロナの影響によるマスクの着用やパーティションの設置で聞こえにくいことがお互いにあったと思います。お金の話など、周囲に聞かれたくないことも声を張らずに話ができます」と話していました。
7月中にすべての店舗に導入する予定で、城南信用金庫の川本恭治理事長は「窓口に老眼鏡はあったが、耳の聞こえにくい人向けには何もなかった。皆さんの助けになればうれしい」と話していました。
引用元:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230529/k10014081411000.html