上尾新聞より
前橋工科大の堤洋樹准教授研究室の学生らが、広瀬団地(群馬県前橋市)活性化プロジェクトの一環として学生向けシェアハウスに改修した空き部屋で、同市の高校3年、大矢咲空さん(18)が3週間の予定で体験入居をしている。部屋の環境や、住民と自然に打ち解ける団地生活が気に入り、条件が整えば来年4月、大学の進学に合わせて正式に入居したいと考えている。
朝焼けと夕焼けがすごくきれいなんですよ」。大矢さんは窓の外を眺めながら語る。部屋は県住宅供給公社の賃貸集合住宅の一角。11月、学生らが団地で開いた魅力発信イベントに、たまたま出展することになった大矢さん。打ち合わせの際、堤准教授にシェアハウスを案内してもらい、楽しそうなイメージが気に入った。
体験入居を提案され、同30日~今月21日の予定で入居した。起立性調節障害の影響で朝起きるのがつらい時が多いが、この部屋は南向きで差し込んでくる朝日が心地よく、不思議と目覚めがいいという。
通信制のN高で学びながら、堤研究室の学生と一緒に高齢化が進む団地の活性化に向けた活動にも参加している。「これまで高齢の人たちと関わる機会がなかったので、交流ができるのは楽しい」と語る。
学生が住みながら、団地再生を目指すことがプロジェクトの目的の一つだが、シェアハウスに住んでいる学生はまだ一人。堤准教授らは入居者がどうしたら増えるか模索する。
大矢さんは「大学生が1人暮らしをする際、なかなか『団地』という選択肢は思い浮かばない。もっと周知すれば、新鮮さを求めて集まると思う」と指摘する。個室部分は事前申請すれば自由に改修でき、退去時に原状復帰の必要がない点も強みだと感じている。
アートと社会の関わりに関心があり、来春から県立女子大でアートマネジメントなどを学ぶ。大学まで車で15分とアクセスもいい。「この団地でもアートでの交流ができればうれしい。あと、家賃がもう少し安くなったらいいな」と期待を膨らませている。