中日新聞より
小松市八幡の北陸体力科学研究所は、運営するスポーツジム「ダイナミック」で、コンピューターゲームを競技化した高齢者向けのeスポーツ教室を今月から新設した。同研究所によると、スポーツジムでのeスポーツ教室の開設は北陸三県で初めて。教室ではストレッチなどの軽い運動も取り入れ、高齢者の心身の健康維持と新たな生きがい作りを目指す。
eスポーツ教室専用の部屋は、屋内プールやトレーニングジムがある施設の一室を改修。アイ・オー・データ財団(金沢市)の助成を受け、ゲーム用パソコンを六台導入した。
教室開設にあたり同研究所は、eスポーツによる高齢者の認知機能や健康への影響を研究。六十〜八十歳の高齢者に定期的にeスポーツをする生活を二カ月間してもらい、心身の変化を調べた。判断力や注意力を測る「ストループテスト」では、eスポーツになじみがない人との比較で、継続した人は簡単な判断能力が向上していた。「この年でできることが増えるのはうれしい」「クリアできないのは悔しい」といった感情の起伏もみられたという。
こうした研究結果を基に教室では、心だけでなく体の健康にも配慮し、眼球運動や肩周りのストレッチなども取り入れる。指導員や参加者の間で交流が図れるよう、オンラインで対戦できるゲームを導入。判断能力の向上を目指し、随時ゲームの種類を増やしていく予定だ。
教室に参加する小松市串町の山中末子さん(79)は、以前はゲームのコントローラーやマウスに触ったことさえなかったという。「コロナが流行し、人と交流する場面が減ったので挑戦してみた。ひ孫二人と一緒にゲームができたら、かっこいいおばあちゃんになれるかな」とほほ笑む。同研究所企画開発部の大久保徳人課長(42)は「eスポーツは年齢関係なく楽しむことができる。心も体も元気になれるコミュニティー作りをしていければ」と話す。
教室は、運動が苦手な人でもeスポーツをきっかけに、心身の健康づくりに関心を持ってもらおうとの狙いもある。十二月中は教室の無料体験ができる。水曜日は午前十時半から、金曜日は午後二時四十分からで、各一時間。各回定員六人で先着順。(問い合わせ先)ダイナミック0761(47)1214