北國新聞より
津幡町舟橋の県道で、車道を歩いていた高齢男性を保護したとして、津幡署は15日、北國新聞社津幡総局の立野愛記者(23)と、津幡交通のタクシー運転手村田正和さん(51)に署長感謝状を贈ると発表した。男性はおぼつかない足取りの上、名前も住所も答えられない状況で、盆田哲也副署長は「声を掛けなければ、事故に巻き込まれる恐れもあった」と2人の行動を評価している。
立野記者は11月26日午後3時半ごろ、取材を終えて車で総局へ戻る途中、国道8号の高架下付近で車道の前方を歩く高齢男性を見掛けた。ふらついて歩く男性の姿を見て、祖母が認知症を患う立野記者は「もしや、このお年寄りも」と疑い、車を降りて男性を呼び止め、路肩へ誘導した。
男性に名前や住所などを尋ねるも、「うーん」とうなるのみ。そのうちタクシーで県道を通り掛かった村田さんが、路肩に立つ立野記者と男性の2人を見掛けて停車、男性の保護に加わった。
立野記者と村田さんは話し合い、男性を警察へ引き渡すことを決めた。立野記者は津幡署に高齢男性を保護した旨を電話で伝え、村田さんは安全確保のため男性をタクシーの後部座席に乗せ、一緒にパトカーの到着を待った。
津幡署は津幡町に暮らす70代男性と身元を特定し、家族に連絡。イオンモールかほくで家族と買い物中にはぐれたとみられ、当時は家族が男性を捜し回っている最中だった。同店から保護現場までは、直線距離で南へ約3キロ離れている。
同署によると、家族は無事に男性が戻ってきたことに感謝しているという。立野記者は「保護した時、男性はとても不安そうだった。男性が家族のもとに戻れて良かった」と話し、村田さんも「大ごとにならず安堵(あんど)した」と振り返った。
津幡署は19日、同署で署長感謝状の贈呈式を行う。村田さんと立野記者のほか、別の2件の高齢者保護に関わったケアマネジャー大岩義浩さん(58)と、会社員前谷内英樹さん(49)にも署長感謝状を贈る。