少子高齢化が進み、飼い主の死亡や入院等によるペットの飼育放棄が社会問題となっているなか、動物愛護活動家としても知られるタレントの杉本彩が4日、兵庫・尼崎市で行われたNPO法人「C.O.N」主催のシンポジウム「高齢者とペット問題を考える」に登壇。ペットをめぐる現状と問題点を熱く語った。
杉本は20代のころ、ドラマの撮影所で見つけた瀕死のネコを保護して以来、保護や里親探しの活動を続けてきた。2014年には動物環境・福祉協会「Eva」を設立。翌年に公益財団法人認定され、動物愛護の啓蒙に取り組んできた。
シンポジウムでは高齢者とペットの老老介護、飼い主の入院や老人ホームなどへの入所、孤独死などによる飼育放棄や多頭飼育崩壊について議論。杉本自身も現在、ネコ6匹を飼っており「私だっていつ何があるか分からない。そろそろきちんと考えないといけない」と真剣な表情を浮かべた。
一方で、高齢化とともに問題となっているのが虐待。杉本が問題視するのが行政の不作為だ。「権限を持っているのは行政だけ。私たちEvaだってできることは限られている。深刻な動物虐待には刑事告発もするけど、人を犯罪者にするためにお金と労力を使って好きでやってるわけじゃない。動物行政が不作為だからであって、これが日本の現状なんです」と怒りをにじませた。
杉本の怒りはペット事業者にも向く。コロナ禍でペット需要は増加しているが「無責任な販売が犯罪を誘発している。蛇口が開きっぱなしなので。大量生産、大量販売はそろそろ考え直すべきだ」とバッサリ。
こうした歯に衣着せぬ発言には、殺害予告が寄せられたこともあったというが、すべてはペットの幸せのため。杉本は「終生、責任を持ってくれる愛のある方が動物を飼ってくれる、そういう社会が理想かな」と話した。