鹿児島市千日町の再開発ビル「センテラス天文館」の開業から間もなく半年。目の前の市電通りの歩道には天文館バス停があるが、「ベンチがなく、バス待ちの人が困っている」という指摘が南日本新聞社に寄せられた。設置はできないのだろうか。
9月中旬の平日昼ごろ、現地では約30人がバスを待っていた。センテラスから突き出たひさしが日差しを遮るものの、暑さは厳しい。立っている人たちの中、壁際で座り込む高齢者の姿も見られる。
同市春山町の女性(82)は「バスを10~20分待つことが多い。足が悪く、暑いのでベンチがあると助かる」と話した。
バス停前には、県が管理する公道とセンテラスの私有地合わせて幅約6メートルがつながっている。センテラスを運営する千日1.4開発によると、うち私有地は約2メートル。私有地へのベンチ設置は所有者の判断になるが、同社は「具体的な予定はない」という。
公道側はどうか。県道路維持課によると、県が県道上に設置する例は「把握していない」。 設置したいという申請があれば、警察との協議や道路管理者の県の許可が必要となる。申請者に適切な管理能力があることや、設置後の歩道に一定の幅が確保できることなどが基準になる。
設置申請について、県バス協会は「検討はしてみるが、現時点で具体的な予定はない」。あるバス会社の関係者は一般論として「費用や万が一事故が起きた場合の補償の問題がある」と課題を指摘する。
同じ電車通り沿いで市道のマルヤガーデンズ前には、バス停前約4.8メートルの歩道上にベンチ5台が置かれている。市道路管理課によると、植木鉢を備える木製の1台は2010年に県が設置し、「We Love 天文館協議会」に寄贈した。石の土台の4台は09年頃、アーケードの改修に合わせていづろ商店街振興組合が設置したものだ。
元組合理事長で設置に携わった川井田保夫さん(87)は「バスを待つ人や、おはら祭などのイベントを見る人のために作った。年配の方からもありがたいという声を聞いた」と話す。 天文館バス停は地元住民はもちろん、観光客も多く利用する。関係者が協議して、何とか鹿児島の「思いやり」を形にできないだろうか。
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