トイレで高齢者らの排せつ物の状況などを人工知能(AI)で分析し、健康状態を無人で管理する実証実験が今月、大府市の介護施設で始まった。人手不足が課題になっている介護業界の負担軽減につなげる狙いもある。
実証実験を進めているのは、住宅設備大手「LIXIL」(リクシル、東京)。同社によると、高齢者施設では、トイレで利用者が転倒したり、うまく排せつできず衣服を汚したりする場合に備え、職員が頻繁に巡回している。便秘や下痢で腸 閉塞へいそく や脱水症状になる恐れもあり、排便状況を手書きで記録するなどの業務もある。
施設利用者の生活の質向上や職員の負担軽減のため、同社が開発を進めているのが新技術「トイレからのお便り」だ。便座などに取り付けたセンサーで入室や着座などの状況を検知し、職員のスマートフォンに知らせる機能がある。職員は必要に応じて介助に向かう。
また、排便のタイミングや便の形、大きさをAIが判定し、記録することができる。排便が長期間ない、便が泥水状態といった場合には注意を呼びかけるようになっている。
実証実験は、大府市半月町の介護付き有料老人ホーム「フラワーサーチ大府」(定員90人)で行われている。医療、福祉、新産業の連携マッチング事業として、市が仲介した。実験期間は1~2か月で、使い勝手などについて現場の声を聞き、事業化に反映させるという。
施設の鈴木智貴施設長は「利用者に質の高いサービスを提供でき、スタッフの負担軽減にもつながりそうだ」と期待を寄せる。リクシルの白井康裕デザイン・新技術統括部長は「新たな技術をうまく活用しながら、高齢化社会に貢献できる製品を開発していきたい」と話している。
引用元:https://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20220719-OYTNT50160/