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高齢者が活躍する場、各地に広がる…人手不足解消にも

元気で過ごしたいと考える高齢者が活躍する「出番と居場所」作りが各地で進んでいる。健康維持にとどまらず、使命や責任を意識してもらうことで、充実感があり、意欲的な生活を送れるという好循環を目指している。

津市の介護老人保健施設「いこいの森」で清掃作業を担当する介護助手の矢田きよ子さん(70)は、5年ほど前に腹膜炎で入院した。入院と治療を経て実感したのは、「自立して生活できるありがたさだった」と振り返る。

4年前にこの施設の介護助手募集のチラシを見て、元気に働いて暮らしていきたい、との気持ちから応募した。気さくさが矢田さんの持ち味で、ロビーでくつろぐ入所者に優しく声をかける姿が施設での日常風景となっている。

この施設では、期待する任務(出番)と、活躍する舞台(居場所)を通じて、高齢者の介護予防を図るという戦略的な考えから60歳以上の介護助手約30人を雇用している。

「無理せず、地域貢献しながら、健康増進につなげてもらいたい」と、施設長の東憲太郎さん(69)(全国老人保健施設協会長)は狙いを語る。体操やウォーキングなどの個人的な健康作りにとどまらず、仕事を通じて他人から必要とされ、責任感をもつことで、元気に活動を続けてもらうことを重視する。

こうした介護現場での「元気シニア」の人材活用は、三重県老人保健施設協会(老健協)が2015年度、全国に先駆けてモデル事業として始めた。シニア採用を進めた県内25施設を調査したところ、各施設での離職率平均はモデル事業導入前は12・1%だったが、その後はシニア介護助手が増えるに従って低下し、18年度には5・1%まで改善した。

この成果を踏まえ、厚生労働省は19年度から、元気なシニアを介護助手として活用する事業を全国規模で展開し始めた。

全国老健協の調べによると、20年度には全国1138施設に広がっている。 東京都健康長寿医療センター研究所の藤原佳典・研究部長は「地域に貢献してわずかでも報酬が得られることで使命感が生まれ、元気や意欲が湧く」と、取り組みを評価する。

勤め先を定年退職した後でも、ボランティア活動など、自らの出番と居場所を求める元気なシニアは少なくない。兵庫県南あわじ市は、60歳以上の市民を対象に、ボランティアに参加すると地域商品券と交換できる「おもいやりポイント」の制度を導入した。

市内の高齢者施設や保育園など約60施設で、清掃作業や本の読み聞かせといった活動をすると、内容に応じて1時間あたり200ポイントか400ポイントを付与している。

群馬県富岡市は、世界遺産「富岡製糸場」の解説員として活躍してもらっている。70歳代を中心に、養成講座を経て、知識や説明する能力などが市から認定された86人が、観光客を有償ボランティアとして案内している。

総務省の2021年の労働力調査では、65歳以上の就業者は、前年比6万人増だった。22年版「高齢社会白書」によると、握力や歩行能力などを測る体力テストの合計点が、65~79歳の年齢層で男女ともに15年前よりも向上しているという。日本老年学会などは、こうした「若返り」を踏まえて、「65歳以上」とする高齢者の定義を見直すように提言している。

引用元:https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20220629-OYTET50008/

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