高齢者の悪夢はパーキンソン病発症のサイン?

悪夢は誰にとっても不安なものだが、高齢者の悪夢はパーキンソン病(PD)発症のサインである可能性のあることが、「eClinicalMedicine」に2022年6月8日掲載された論文で報告された。

論文の著者である英バーミンガム大学ヒト脳健康センター(CHBH)のAbidemiOtaiku氏は、「この研究は、夢から脳の構造や機能に関する重要な情報を得られることを示すものだ。夢が神経科学における重要な研究分野となる可能性がある」と話している。

過去の研究では、PD患者は一般の人に比べて、悪夢を見る頻度の高いことが報告されている。

PD発症リスクの指標として悪夢を用いることについては、これまで検討されていなかった
今回の研究では、米国で実施されたコホート研究(Osteoporotic Fracture in Men Study)に参加した3,818人の高齢男性(平均年齢77.0歳)のデータが分析された。

これらの男性は、研究開始時に睡眠に関する詳細を含めた幅広い情報を提供しており、368人が頻繁に悪夢を見ることを報告していた。12年間にわたる追跡期間中に91人がPDを発症した。

ロジスティック回帰モデルを用いた解析の結果、研究開始時に悪夢を頻繁に見ると報告していた男性でのPDの発症リスクは、悪夢を頻繁に見ていなかった男性の2倍であることが明らかになった(オッズ比2.01、95%信頼区間1.1〜3.6、P=0.02)。

追跡期間を研究開始後5年間とそれ以降の2期に分けて解析すると、研究開始後5年間に悪夢を頻繁に見ていた男性でのPDの発症リスクは、頻繁に悪夢を見ていなかった男性の3倍以上であった(同3.38、1.3〜8.7、P=0.01)。それ以降の7年間では、頻繁な悪夢とPD発症との間に有意な関連は認められなかった。

Otaiku氏は、「PDは早期に診断できるに越したことはないが、リスク指標となるものが非常に少ない。リスク指標とされているものでも、その多くは検査に高額な費用がかかるか、あるいは糖尿病のようにごくありふれた非特異的なものである」と説明する。

同大学の研究グループは、今後はさらに大規模かつ多様な集団を対象にこの知見を確認し、アルツハイマー病などの他の神経変性疾患と夢との関連についても検討する予定だとしている。

引用元:https://dime.jp/genre/1410442/

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