高齢化が進む日本を、もっとシニアが活躍できるような社会に。そんな目標を掲げ、高齢者自らが集って方策を探る「シニアルネサンス研究会」が今月、神戸市で発足した。22日の設立総会では、発起人らが参加者に立ち上げの思いを講演。会員を広く募っている。
研究会の代表を務めるのは楠本利夫さん(80)。神戸市職員を定年退職後、芦屋大学教授などを務めた。県いなみ野学園などで高齢者の生涯学習にも携わる中、活力あふれる高齢者らに接して、もっと彼らをいかす社会にすべきだと考えるようになった。
知り合いの研究者や教え子に話したところ共感する約20人が集まり、2年前から準備を進めてきた。研究会では今後、高齢者の就業や社会貢献などについて学びを深め、定期的に研究発表会を開く予定だ。成果を本にまとめたり、政策提言につなげたりもしたいという。
会員には、介護施設や財産、終活などについて情報提供もする。交流し、友人づくりの場にもしてもらいたい考えだ。 22日に神戸市長田区であった設立総会では、高齢の市民ら約60人が集まった。講演した楠本さんは「社会ではシニアに対し、手厚い社会保障を受けているのにわがままで交通事故を起こす『お荷物』との見方がある」と指摘。「元気で豊富な知識や経験を持つシニアの存在が十分理解されていない」と話した。
こうした状況を変えるためにも、シニアが活躍するための制度改革、雇用環境の整備や高齢者大学の充実が求められるという。そのために、シニア自身が品格を持ち、健康や好奇心を保つことも必要だと訴えた。