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高齢者安心、焦らず会計 「スローレジ」名古屋に今春登場

焦らずにゆっくりと買い物の会計をしたい−。そんなお年寄りらの声に応えようと、「スローレジ」と呼ばれる専用の有人レジをスーパーに設ける試みが始まっている。今春オープンした名古屋市北区の商業施設や福井県内の店舗など中部地方でもじわじわと導入が進む。

四月下旬、名古屋市北区の商業施設「そよら上飯田」の食品売り場のレジ。仏花をかごに入れた同区の女性(82)が困り顔でかばんの中を探っていた。レジ担当の従業員が声を掛けると女性はホッとした表情になり、一緒にカードを探して和気あいあいと会計を終えた。

イオンリテール(千葉市)が運営する同店は高齢者が多く暮らす地域にある。開業前に北区福祉課に相談したところ、区側がスローレジを提案。店では、八台あるレジのうち一台が対面式のサポートレジになっており、世話好きな従業員が担当する。

穂苅秀彦店長は「以前は効率や、レジ待ちの列をいかになくすかを意識していたが、これからは地域の人が求めることをするべきだ」と意気込む。

きっかけは、お年寄りの客が自分で精算する「セミセルフレジ」に大量の小銭を投入し、硬貨が機械に詰まってしまったトラブル。この客は、通常のレジでは小銭を取り出すのに手間取ってしまうため他の客らに迷惑だと思い、一万円札や千円札しか出すことができず、だんだんと財布の中が小銭でいっぱいになっていた。

同生協は二〇二〇年春、一部店舗でゆっくりレーンを導入すると好意的な声が寄せられ、現在は全店舗で常時設けている。担当者は「急いでいる客は他のレジも選べるので、待ち時間はそれほど長くなっていない。優しいレジを目指していきたい」と語る。

中部地方では他にも、自治体とスーパーが協力するなどしてスローレジを導入する動きが出ており、三重県伊勢市は今年三月、市内のスーパーで試験的に「スローショッピング」の体験会を実施。愛知県東郷町は昨年夏から、導入するスーパーを募っている。

スローレジは欧州でも広がっているが、国内では、認知症患者を地域で支える取り組みとして、岩手県滝沢市の開業医紺野敏昭さんが考案した。認知症患者を診察し、地元医師会で支援事業を進めてきた紺野さんは、レジで後ろの客にせかされるなどして買い物を諦め、外出が減ってしまう実態を目の当たりにしてきた。

近年は人手不足から有人レジが減り、客が機械で精算する無人レジやセミセルフレジが急速に普及している。慣れない機械の操作に戸惑うのは、認知症の人だけではない。紺野さんは「高齢者や障害のある人もゆっくり買い物が楽しめるよう、スローレジが市民運動として広がっていってほしい」と理解を求める。

引用元:https://www.chunichi.co.jp/article/479671