金沢市小坂小の児童4人が今月7日の下校中、神谷内町の市道で体調を崩して倒れた80代女性を助けた。1人が近隣の福祉施設に助けを求めに行き、残った3人は他の大人が到着するまで付き添って女性を励まし続けた。女性は軽症で大事には至らず、駆け付けた住民の1人は児童の善行に「この地域では温かい子どもたちが育っている」と感慨深げに話した。
女性を助けたのは6年の馬場結生君(11)、5年の池田陽さん(11)、鹿肝(しかん)碧依さん(10)、4年の中村麗羽さん(9)。4人によると、7日午後4時すぎ、通学路を歩いていたところ、前方からやって来る高齢女性を見かけた。女性はふらふらした足取りで息を切らしており、4人の前で道端に座り込んだという。
この時、中村さんが「大丈夫ですか」と声を掛けると、女性は「大丈夫だよ」と話し、再び歩き出した。しかし、心配した4人が振り向いたところ女性が倒れていたため、中村さんが近くにある小規模多機能ホーム梧(あおぎり)・グループホーム暁に駆け込んだ。
「助けてください。おばあちゃんが道路で倒れています」。知らせを聞いたホーム長の岩中和己さん(51)はすぐさま119番通報して現場へ。この間、中村さん以外の3人は女性に付き添い、「帽子をしっかりかぶって」「水分もしっかり取るようにしてください」などと話しかけていたという。
子どもたちは駆け付けた大人に名乗ることなく、救急車が到着する前に現場を後にした。しかし、4人の善行に胸を打たれた岩中さんが小坂小に連絡。学校側が校内で探したところ、4人の名前が分かった。
馬場君は「周りに自分たちしかいなかったのでやるしかないと思った」と話し、池田さんは「初めての経験だったけどみんなで協力できた」と振り返った。
鹿肝さんは「本当にしんどそうだった。助けることができてよかった」と語り、中村さんは「周囲に安心して頼れる人たちがいてくれたおかげです」と笑顔を見せた。