3人で遊びに行く途中に見つけたのは、踏切内で自転車から転落し、身動きが取れなくなっている高齢の男性だった。遮断機はすでに下り、遠くには急接近する列車が見える。迷わず踏切内に入り、3人で男性と自転車を抱えだした。ギリギリですれ違った列車は、現場を通過した後に停車した。
昨年5月25日午後、福岡県大牟田市船津町にあるJR鹿児島線の踏切で80代男性を救出した。危険を顧みず人命救助に尽くしたとして、三池工業高2年の笠間春さん(16)=柳川市、猿渡騰士さん(16)=大牟田市、西山文弥さん(16)=大牟田市=の3人が紅綬褒章を受章した。
救出した男性の足が、通過する列車に当たるか当たらないかという間一髪の状況。猿渡さんは「男性の『助けて』という声が聞こえて、迷わず行けた」と話し、西山さんと笠間さんは「列車停止ボタンを押しに行っていたら、間に合わなかったと思う。終わったあとに足が震えた」と振り返った。
今回、全国でも最年少での受章となった。猿渡さんは「すごいと家族に言われたけど、半信半疑」、西山さんも「すごさがよく分からない」と首をかしげる。笠間さんは「こんな大きなことになるとは思わなかった」と驚く。3人とも喜びながらも、まだ実感が湧いていない様子だ。
三池工業高の森永完志生徒指導主事は「勇気のある行動だったけれども、一瞬遅れたらと思うと心配もしました。すごいことをやってのけたと思います」とたたえた。