「ソワレ」の外山文治監督が、実在の事件をもとに描く、高齢者売春クラブを舞台にした群像劇「茶飲友達」が、2023年2月に公開されることが決定。あわせて特報、ティザービジュアルがお披露目された。
13年10月、高齢者売春クラブが警視庁に摘発された。クラブの会員は男性1000人、女性350人、最高齢は88歳。まさに超高齢化社会の日本が抱える、老人の孤独死、介護問題などの不安が反映された事件として、話題になった。
長編デビュー作「燦燦 さんさん」が、14年の第38回モントリオール世界映画祭に正式招待され、「ソワレ」が評判を呼んだ外山監督が、同事件をもとに、“擬似家族”と化した高齢者専用売春クラブを通して、現代社会に横たわる閉塞感や、高齢者と若者がともに抱える寂しさを描き出す。
本作は、ワークショップでキャスティングされた俳優たちとともに、商業映画とは一線を画す作品を世に届けてきたENBUゼミナール「シネマプロジェクト」の記念すべき10作目。
これまで同プロジェクトは、上田慎一郎監督作「カメラを止めるな!」をはじめ、今泉力哉監督作「退屈な日々にさようならを」、二ノ宮隆太郎監督作「お嬢ちゃん」などを製作してきた。
29歳の佐々木マナは、高齢者専門のコールガールクラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」を設立。マナは「世の中の保健室を作りたい。誰でも逃げ込める場所を」という思いから、ひとりでも多くの孤独な老人を救うという理想を掲げ、シニア世代の影のセーフティネットの役割を担うようになる。
NHK連続テレビ小説「わろてんか」や映画「弥生、三月 君を愛した30年」の岡本玲が、ワークショップのオーディションを勝ち抜き、高齢者の孤独に寄り添いながら、自身も心に寂しさを抱え、ファミリーのなかに居場所を求めるマナを演じた。
撮影前に行われたクラウドファンディングでは、製作応援サポーター767人、目標額をはるかに超える800万円以上が集まるなど、インディーズ映画ファンの間で注目が高まっている。
特報では、マナの「孤独を抱えた高齢者と若者たちが家族になった」というナレーションをバックに、「茶飲友達」のビジネスを企てる人々の日常を活写。
ティザービジュアルは、男性が下着姿のティー・ガールの胸に手をあてる写真に、「誰だって、ひとりは寂しい。」というコピーが重なり、不思議な温かみを感じさせる仕上がりだ。
「茶飲友達」は、23年2月に東京・渋谷のユーロスペースほか全国で順次公開される。