阪神・淡路大震災をきっかけに高齢者らに落語を届け続ける福祉落語家、壽文寿(ことぶきもんじゅ)さん(61)=兵庫県尼崎市=が、高座9千席を達成した。コロナ禍で一時は活動できない時期もあったが、「今は皆さん笑いを求めています。笑いは健康の秘けつ」といい、1万席に意欲を見せている。
小学生の頃、吃音(きつおん)に悩んで不登校になり、克服しようと落語を始めたところ、その魅力にのめり込んだ。若い頃から落語の稽古に励んでいたが、転機になったのは1995年の阪神・淡路大震災。仮設住宅での孤独死にショックを受け、少しでも笑いを届けたいと思い、神戸や阪神間でのボランティア落語に力を入れ始めた。
98年4月に“福祉落語家を襲名”。主催者の予算に合わせ、高齢者福祉のための活動を本格化させた。古典だけでなく防災、防犯、健康情報などを盛り込んだ創作落語も披露する。評判は口コミや交流サイト(SNS)で広がり、現在は兵庫県にとどまらず、活躍の場を広げている。吃音に悩んだ子どもの頃の経験から、最近は地元、尼崎市内の小学校での落語も多い。
10月4日に南あわじ市であった集会で、創作落語「福祉落語家誕生記」で9千席を達成。1万席は大阪・関西万博が開かれる2025年となる見込みだ。文寿さんは「芸を磨き、どんな場所でもどんな時でも笑わせまっせ。それが福祉落語家や」と意気盛んだ。
引用元:https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/202211/0015850514.shtml