ペットとのふれ合いは心を豊かにしてくれる。国立環境研究所と東京都健康長寿医療センター研究所のチームが1万人以上の高齢者を調べると、犬を飼っている人は飼ったことがない人に比べ、介護や死亡が発生するリスクが半減することが分かった。
日々の散歩や他の飼い主との交流がプラスになっている可能性がある。 チームの谷口優・国立環境研究所主任研究員は「高齢化社会に向けて人とペットのよりよい関係を探る必要がある」と話す。
病気の子どもや体の不自由な人に動物がもたらす恩恵は多い。 カナダの病院は、救急外来で長く待たされる患者のいらだちを鎮めるためにセラピードッグを導入。約200人を対象に調べると、待つ間に犬と10分間ふれ合った人は、何もしなかった人と比べて痛みなどの症状も大きく軽減していた。
こうした研究は病気の人が対象の場合がほとんど。谷口さんは「健康に問題のない一般住民を調べた研究は少ない。ペットが健常な高齢者に及ぼす影響を分析してみようと考えた」と話す。
研究対象としたのは、2016年時点で介護認定を受けていない東京都大田区に住む65~84歳の男女約1万1000人。犬や猫などペットの飼育を含む生活環境や既往歴などの健康状態を調査、18年にフォローアップした。
20年に公的データを用いて要介護や死亡の有無を追跡した。開始時に犬か猫を飼っていた人は全体の14%。過去に飼ったことがある人は30%で、全く飼ったことがない人は半数以上を占めた。
犬や猫の飼育状況ごとに介護や死亡が発生するリスクを統計的に分析すると、犬を飼っている人は、飼ったことがない人に比べてリスクが0・54倍とほぼ半減していた。犬の飼育に加えて定期的な運動習慣がある人は0・44倍に下がり、犬の世話を含む日常的な身体活動により介護や死亡のリスクが大きく減少することが示された。
愛猫家には残念な結果だが、ペットの種類によって必要とする世話の内容が違うことが関係しているのかもしれない。
引用元:https://www.zakzak.co.jp/article/20220613-LQ4IXT4SX5OI7KHMA5EWGAMGTM/