ソフト開発のシーピーユーと日新電機子会社の日新システムズは2月にもスマートフォンに不慣れな高齢者を見守る実証実験を石川県で始める。
高齢者が意思を伝えるための押しボタン型端末を活用し、親族や民生委員らはスマホを使った地域活動支援アプリで情報を共有する。両社の情報通信技術を組み合わせ、安全安心につなげる。
「元気だよ」「相談」といったカードを置いてボタンを押すと、見守りの担当者に連絡できる。実証実験はCPUの町内会活動支援アプリ「結ネット」を導入済みの金沢市と野々市市内で計画する。
野々市市の場合、4地区で押しボタン型端末各1台を高齢者に貸し出す予定。担当の民生委員や遠方にいる高齢者の親族ら3、4人を「見守りチーム」に設定し、アプリで登録する。
チャット機能で普段から健康状態の情報を共有するほか、相談カードが置かれた場合、誰が向かうかなどを調整する。実験期間は3カ月程度を計画する。その効果を見ながら本格導入を目指す。
結ネットは電子回覧板の機能があり、地域情報をスマホに発信できる。このシステムを活用すれば高齢者宅の端末から音声で情報を伝えることも可能だ。結ネットのサーバーで受け取った災害情報をボタン型端末の音声で知らせる。
CPUは「防災無線の受信機の代わりにもなるのでは」と指摘する。日新システムズはボタン型端末を熊本県内の社会福祉協議会などで導入実績がある。高齢者から相談の連絡を受けた場合、誰が支援するかなど調整に時間がかかるケースがあった。スマホで住民らが情報を共有しやすい結ネットに着目、連携が実現した。
CPUは2021年度にNTT西日本と連携し、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」電球を使った高齢者の見守り実験をしている。電球の点灯・消灯情報をもとに異常を把握し、遠隔地の家族と町会長らが情報を共有する仕組みだ。
CPUは「見守られたくない高齢者をさりげなく見守るのが電球。自ら意思を伝えたいが、スマホが苦手な方はボタン端末。それぞれを組み合わせて地域の安心につなげたい」としている。
日新システムズは「地域にはICTへのリテラシーが高い方とそうでない方がいる」と指摘。 スマホの操作が可能な人は結ネットで情報を回覧し、不慣れな人はアナログ的なボタン型端末を使うことが現実的という。
引用元:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC11AKN0R10C22A1000000/