産経新聞によると、京都市は高齢者がペットと安心して生活を続けられるように、民間企業と提携した新たな取り組みを始めています。このプロジェクトは、高齢者がペットとの生活を通じて精神的・身体的なメリットを享受しつつも、万が一の事態に備えることができるようにすることを目指しています。
取り組みの背景には、高齢の飼い主の体調不良や死亡によって、施設に引き取られる犬や猫が増加しているという課題があります。この問題は近年顕著になり、例えば、10年前にはペットの引き取り理由全体の3割が「飼い主の体調不良・死亡」だったのが、令和元年度には約5割に、さらにその2年後には約7割に増加しています。これは高齢化社会において急速に解決を迫られている社会的な課題となっています。
この新しい取り組みは、「飼い続ける支援」と「飼い始める支援」の2つのサービスを提供するもので、今回は特に猫に焦点を当てています。京都市は、関西を中心に猫専門のサービスを展開する「ねこから目線」と提携しています。
「飼い続ける支援」では、主に猫を飼っている高齢者を対象に、月に1回ペットヘルパーを自宅に派遣して猫の世話を代行します。このサービスは猫のトイレ掃除や爪切り、ペットフードの買い出しなど、高齢者にとって負担となることをサポートします。また、飼い主の見守りサービスも提供しています。希望があれば、猫と飼い主の様子を写真付きで遠くに暮らす家族や友人に報告します。さらに、飼い主が病気になったり入院するなどで飼い続けることが困難になった場合には、新たな引き取り先の調整を行うなど、総合的なサポートを提供します。
一方、「飼い始める支援」は、ペットを新たに飼いたいと思う高齢者を対象にしています。高齢者はペットを飼いたいという願望があるものの、年齢や一人暮らしという壁が立ちはだかることがあります。一部の保護施設では年齢制限が設けられており、高齢者は譲渡を受けられないことが多いのです。このサービスを通じて、高齢者が新たにペットを飼い始めるための支援を行います。
この取り組みは、高齢者とペットの関係性を再考し、持続可能なコミュニティを作り上げることを目指しています。特に、一人暮らしの高齢者にとってペットは大切な存在であり、その状況を理解し、高齢者とペットが安心して共に生活できる社会を目指すことが求められています。
参考記事:https://www.sankei.com/article/20230602-HPLLTDNMKRJ4RC4US6QWME6TMA/