中国新聞より
広島県廿日市市四季が丘の薬剤師横手香名さん(28)が2022年12月中旬、商業施設のATMを電話をしながら操作していた80代男性に声をかけ、特殊詐欺被害を防いだ。1月30日に横手さんに感謝状を贈った廿日市署によると、銀行員やコンビニ店員ではなく居合わせた人が被害を防ぐ事例は珍しい。同署は「不審に思ったら積極的に声をかけてほしい」と呼びかけている。
横手さんによると、22年12月13日午後3時半ごろ、同市阿品の商業施設内のコーナーでATMを利用した後、スマートフォンで通話しながら焦った様子でATMを操作している高齢男性を見かけた。通話がスピーカー設定になっており、「口座番号」など通話相手の言葉が聞こえたという。
特殊詐欺を疑って男性に「大丈夫ですか」と声をかけた。男性は大丈夫だと答えたが、急いでATMの取引取り消しボタンを押し電話を代わった。大手通信事業者をかたる通話相手の男に「後でかけ直す」と言い電話を切った。その後、お金を振り込まないよう男性を説得し、110番した。
男性は未納のサービス利用料として約20万円を振り込むよう指示されていたという。同署で秦光昭署長から感謝状を受け取った横手さんは「勤めている薬局のお客さんにも高齢者は多い。特殊詐欺は身近でも発生していると注意喚起したい」と話していた。
同署によると22年の管内の特殊詐欺被害は8件計1631万円。秦署長は「多くの人が関心を持てばさらに被害は減らせる。直接声をかけづらい場合は110番してほしい」と強調している。