豪雪地帯の暮らし 高齢者同士で支え合い「1人では生きていけない…」

北海道テレビより

今年に入って、毎週のように大雪に見舞われている道内。除雪にうんざりしている方も多いと思いますが、高齢化、過疎化が進むと問題はさらに深刻に。豪雪地帯のリアルとは?

札幌から車で約1時間の三笠市。一冬に10m以上の雪が降る豪雪地帯です。去年は積雪が2mを超えました。

高橋記者:「はしごが掛かっています。屋根の雪下ろしをした後でしょうか。家の前には除雪機も置いてあります」。

高齢化率46.9%、約2人に1人が高齢者のまちの冬の暮らしとは。

佐藤つせさん(92)。三笠に住んで70年。3年前に夫が亡くなってからは、1人で暮らしています。この日は、横浜から長女の祐子さんが帰省していました。子どもたちからは施設に入ることを勧められましたが、思い出が詰まったこの家を離れられませんでした。以前は自分で屋根に上って雪下ろしもしていましたが、3年前、危ない目にあってからはやめました。

つせさん:「屋根の雪が落ちてきたの。つついてやろうと思ったら、これがダーって落ちてきた。いや、びっくりした。これだったら死んじゃうよね」。

80cmを超える雪が積もっていたこの日、つせさんの家の前で、朝早くから除雪する男性がいました。近くに住む橋本洋一さん(73)。除雪に入るのは、この冬すでに20回を超えました。1日で近所の家8軒を回ります。

橋本洋一さん:「朝ごはんも食べないで、早朝から昼近くまでやることも度々あります」。

三笠市では、2004年から70歳以上の高齢者世帯を対象に玄関前の除雪サービスを行っています。10cm以上の雪が降った次の日に出動。昨シーズンは、およそ40回サービスを提供しました。つせさんのように75歳以上であれば、利用者の負担は一冬1万円です。

除雪の担い手の中心は、シルバー人材センターの会員。橋本さんもその1人です。会員の平均年齢は70歳。豪雪地帯の暮らしを、高齢者同士で支え合っているのです。

シルバー人材センター・道下秀樹所長:「退職年齢が65に上がっている。退職してから来るので、70近くなってから来る方が多い。最近では60前の人はまずいないです」。

三笠市郊外に行くと、雪を巡るもう1つの課題が見えてきました。

高橋記者:「こちらの家は人が住んでいないようです。屋根から落ちた雪の塊が窓の高さくらいまで積み上がっています」。

かつて「炭鉱のまち」だった三笠市。道内初の炭鉱「幌内炭鉱」を中心に栄え、1950年代には人口6万人に達しました。しかし、1989年に炭鉱が閉山されると過疎化が進み、現在の人口は7700人ほど。特にこの幌内地区には、空き家が目立ちます。

現在、三笠市内にある空き家は545軒。落雪や倒壊の恐れがある物件もありますが、放置されているケースも。周辺住民からの通報で、消防が出動することもあります。

三笠市消防本部・飴谷匠海係長:「落雪危険のある建物という状態で残されているケースが多くあるので、その場合に所有者を特定できずに速やかな対応が取れない、というもどかしさがあります。危険だという声は多く寄せられています」。

92歳の佐藤つせさん。雪が積もる前は主に自転車に乗って出掛けていますが、この季節は路線バスが頼りです。道路事情が悪い雪の季節。バスが遅れるだけならまだしも、運休になることもしばしばです。

この日は、高血圧で2カ月に1度通っている岩見沢市内の病院へ。帰省中の長女、祐子さんも付き添います。およそ2時間後、病院から出てきたつせさん。今度はタクシーに乗りました。向かったのは、岩見沢市内のスーパー。冬場は、一度の外出で出来るだけ多くの用事を済ませるためです。日持ちする食品を多めに買います。

帰りも1時間に1本しかないバスを待ちます。以前は、夫が運転する車で買い物や病院にも出掛けていました。1人になった今は冬の不便さがこたえます。

 つせさん:「1人では生きていけない。皆さんの応援があって生きられる…」。

高齢化が進む豪雪のまち。今後一層、過疎化が進む中で、どう雪の季節を乗り越えるのか。課題は山積みです。

引用元:https://www.htb.co.jp/news/archives_18805.html

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