体験記

ICU その3

痛い・・・

丸い板に両手を広げて貼り付けられています。

その手を二方向から誰かに引っ張られています。

そして、そのまま頭と足がぐるぐると上下に回されます。

貼り付けられ、手を引っ張られながら身体が上下に回転されています。

何か大きな力で引っ張られ、回転します。

痛くて、痛くてたまりません・・・

・・・・・・・・・・・・・・

「なかひろさん、大丈夫ですか? いま先生が来ますよ」

胸が、心臓が痛くて仕方ありません。

張り裂けそうな感覚です。

「ちょっと不整脈を起こしているので、電気ショックしますね」
「お薬いれて眠ってもらいます。その間にやりますからね」

パジャマの胸を開けられて、何か冷たいものが右と左に貼られる感触があります。

先生と看護師さんの声が遠くなっていきます。

バン! と衝撃・・・

記憶が途切れました。

ICU3日目(25日)

知らぬ間に私は心房細動を起こしていたようです。

心房細動とは

心房細動とは、心房といわれる心臓の上の部屋が小きざみに震え、十分に機能しなくなる不整脈のひとつです。動悸(どきどき)がしたり、めまいや脱力感、胸の不快感を感じたり、呼吸しにくい感じがしたりすることもありますが、自覚症状のない方もたくさんいらっしゃいます。加齢にともなって起こりやすくなるといわれていますが、働き盛りの若年の方にも起こり得る不整脈です。

ジョンソン・エンド・ジョンソン 不整脈/心房細動について
https://www.jnj.co.jp/jjmkk/general/pulse

電気ショック

心房細動がずっと続き、止める必要がある場合、薬物治療の他に、電気ショック(電気的除細動)の治療があります。100ジュール(熱量の単位)前後の直流電流を一瞬、体に流して心房細動を止める治療です

国立循環器病研究センター 循環器病情報サービスより
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph140.html#anchor-10

目が覚めるとこれまでと同じICUのベッドの上です。

退院後、確認すると、電気ショックの同意書の印刷日付が25日午前10時になっていました。ということは、心房細動を起こしたのは25日の深夜~早朝だったのでしょう。電気ショックを受ける前の朦朧とした状態で、先生が看護師さんに「同意書は後で私が書くから、早く準備して」と伝えていたのをおぼろげに覚えています。

結局22日(木)に手術して、23日から25日(日)までICUにいました。ただ、ICUでの記憶があいまいではっきりしません。いつ何があったかよく覚えていないのです。

ICUでは、動かしてもらったり、オムツを変えてもらったり、頭を洗ってもらった記憶があります。看護師さんには本当に親切に献身的に世話をしてもらいました。退院時にちゃんとお礼が言えなくて申し訳ありませんでした。

25日の夕方に明日から一般病棟に戻りますねと言われました。ほとんど動けないような状態なのですが、大丈夫なんでしょうか?

「大丈夫、大丈夫」

ICUの看護師さんは明るく言ってくれます。