手術キャップを外してA君とエレベーターに乗り、二人とも無言のまま6階まで戻ります。
ナースステーションにいる看護師さんたちが「なんで、なかひろさん、戻ってきてるの?」と言った目で見ます。ひとまず、A君はナースステーションへ、私は病室へ戻ります。
何となく拍子抜けしちゃった私はベッドに座ります。すぐに看護師長さんが来てくれました。
「なかひろさん、すみません」
「はぁ・・・」
「病室出てから手術室から連絡が来て、連携ミスでご迷惑掛けました」
「はぁ・・・」
「すぐ、お昼ごはん用意しますね!」
「はぁ・・・」
ということで、やはり今日の手術は無くなったそうです。
こんな事あるんですね・・・
何もする気にならなくなった・・・
何となく置いてきぼりにされた感覚と言うんでしょうか・・・
今日まで高めた来たこの気持を思うとスッキリしません。
病室でぼんやりしていると、看護師のT嬢が覗きに来てくれました。
「なかひろさん、大変でしたね」
「うん」
「私も何年か働いているけど、手術着を着たまま戻ってきた患者さんは初めて見ました」
「あ、そう・・・」
「気を持ち直してくださいね。今日はゆっくりしてください」
と、優しくフォローしてくれます。
でも・・・
目が笑ってるよね・・・(^ω^;)
初めて眠れない
午後になって妻からLINEが来ました。今日は手術日だったので仕事休んで家で待機していたら、女子医大の先生から事情説明の電話があって延期になったことを知ったそうです。
「こんな事もあるんだねぇ~」
「俺が高めたこの気持の持って行きようがない・・・」
「貴重な体験だよ、誰にもあることではない」
妻からは、私の兄姉にも手術日だと伝えてあったので、みんなに連絡したらズッコケていたよと聞きました。
その日の夜の担当看護師さんは男性のK君です。この頃には少し気持ちも整理できていたので「やり場のない怒りがあるから、いたぶってあげる」と言うと「止めてください」と断られました。
なんだよぉ~。
その日の夜は初めて眠れませんでした。入院してからなかなか手術日が決まらなくて、ようやく決まったと思ったらこんなことになって、気持ちが萎えちゃった感じです。入院してから普通に過ごしていたつもりでしたが、結構緊張していたんでしょうね。
手術日は22日に
翌日朝、改めて手術日は明日(10月22日)8時30分からと告げられました。一昨日行った手術の説明などを再度軽く聞きます。
また、おヘソの掃除もやりました。一昨日やったからきれいだと思うよと言いましたが、せっかくだからやっておきましょうと言われ、再度オリーブオイルと綿棒で掃除してもらいます。多分、この時、世界で一番おヘソのきれいな男だったと思います。
就寝前に下剤を飲みます。使われていた下剤はコップに入れたお水に下剤を何滴か垂らして調整するそうです。看護師さんに聞くと、適量は決まっているけど人によって効果の違いがあると言います。何滴にしますと聞かれたましたが、わからないので普通でと言いました。
早めの就寝、明日は仕切り直しの手術です。