3月終わりに調子が悪くなって、その後心臓手術が必要と診断されてからあまり実感がありませんでした。なぜなら、診断後の毎日もそれまでと同じような感じで生活していたからです。お薬のおかげかも知れませんが、心不全を起こした前とそれほど変わりない気がしていました。
実際、手術が必要なのだという実感はありませんでした。ネットなどで色々と手術された方の話などを見ましたが、他人事のように感じている自分がいました。
これまで自分の命、寿命、死生観などを真剣に考えたことがなかったのでよくわかりませんでした。ただ、入院前に一度だけ、死ぬのが怖いと思ったことがありました。
入院数日前のことです。妻を手伝って洗濯物を畳んでいました。その時突然、妻が「きゃ!」と叫んで洗濯物を放り出しました。悲鳴を聞いた時、私もそれこそ心臓が跳ね上がるような感じで驚きました。
後で聞いたらカメムシが洗濯物に付いていたそうです。しかし、私はいつもより心臓の鼓動を感じてしまい、なぜか「死にたくない」と思ってしまいました。入院して胸を開いて心臓手術すると思うと、死ぬ可能性もあるんだと気が付いてしまったと言えば良いのでしょうか。
わけもなく先行きがわからなくなり、とても怖くなりました。「死にたくない、死にたくない」と思い、怖くて怖くて涙が止まりません。洗濯物に顔を埋めて震えが収まるのを待つしかありませんでした。