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身近な段差「高齢者のイス」 塀や花壇活用 外出支援へ住民考案【福岡県大野城】

大野城市の平野台区で、民家の塀や花壇などを自由に休憩できるスペースとして提供する「高齢者のイス」が増えている。地区には坂道が多く、外出を敬遠する高齢者を支援しようと住民が考案。ベンチを設置するのに比べて大幅に費用を抑えられ、今春までに計50か所に設置した。県は「初めて聞く取り組み。安心して外出できることで引きこもりの防止につながる」と期待を寄せる。

5月中旬の夕方、同市平野台で、江原京子さんが古賀照子さんと、駐車場の一角に咲いているバラの花を眺めていた。2人が座っていたのは、民家の塀。50センチほどの高さのコンクリートの端には「高齢者のイス」と表示されたプレートが掲げられている。

健康維持のための散歩が日課といい、足が悪く杖が必要な江原さんは「100メートル歩けばイスがあると思うと、外に出るのが苦じゃなくなった」と笑顔。一人暮らしの古賀さんも「座っていると、近所の人たちが話しかけてくれる」とうれしそうだった。

平野台区は約50年前に新興住宅地として開発され、現在は約3000人の住民のうち、65歳以上の割合が3割強を占める。地区内のほとんどが坂のため、買い物などの度に住民たちは上り下りしており、車を運転しない高齢者の支援が大きな課題だった。

ベンチを設置する計画もあったが、道幅が狭くスペースの確保が難しいほか、経費の負担も大きいことなどから設置は難航していた。そんな時、区長を務める永野元生さんは、住宅の壁に寄りかかって休む高齢女性の姿を目にした。

「ちょっとした段差があれば、十分休憩できるスペースになるのでは」と思いつき、「高齢者のイス」を発案。2019年夏から、座れそうな段差を見つけては、一軒一軒、協力を依頼してきた。

トラブルを避けるため、車の往来が多い門扉の前は避けるのがルール。妊婦や小さな子どもらも自由に座ることができ、自宅の花壇を提供している大宝敏嗣さんは「誰が座ってもいいように、きれいに掃除している」と話す。

設置にかかる費用は、プレートの1000円程度で、ベンチを設置した場合の100分の1に抑えられた。県は、高齢者の見守り施策の一例として、ホームページでこの取り組みを紹介している。永野さんは「小さな思いやりが、何十年先も住みやすい地域をつくる。まだイスが必要がない世代に理解を広めながら、活動を根付かせたい」と話している。

引用元:https://www.yomiuri.co.jp/pluralphoto/20220606-OYTNI50038/

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