健康のためを考えるなら、過度なダイエットは禁物。自分に必要な栄養素を確認して、正しい食事をとることで健康な体が作られる。
地域在宅医療・介護の現場で、「高齢者の栄養管理」の最前線に立つ塩野崎氏が、手間をかけずに栄養バランスの整った食事をとるコツを伝える。
テレビの宣伝や雑誌広告で、「2週間で体重がマイナス10キロ減少」などといった、うたい文句の健康食品やダイエット食品を目にすることはありませんか。こういったダイエットでは、都合よく「体脂肪だけが減る」というわけではありません。
体重は、体脂肪と体脂肪以外の合計ですが、ダイエットをすると体脂肪以外の水分や筋肉も失われてしまうのです。健康診断で「メタボ」を指摘され、生活習慣病の予防や悪化防止のためにダイエットを指導された方は少なくないと思います。
高度な肥満になっている方のダイエットは、病気の予防の観点から重要です。 国は、特定保健指導に多額の予算をつけて、「現役世代」の体重適正化を呼びかけています。
ある研究では、生活習慣の指導を行った人のうち、6ヵ月後に3%以上の体重減少があった方は、健診のすべての項目で検査結果が改善したという報告があります。
「日本人の食事摂取基準2020年版」で、総死亡率がもっとも低かったBMIの範囲が紹介されていますが、65歳以上では22.5~27.4でした。 BMIが27というと、身長150cmの方なら体重は約61kg、170cmの方なら約78kgです。
高齢者の場合は、少しぽっちゃり気味の人の方が、どうやら長生きしているということがわかりました。高度の肥満で生活習慣病があった方の場合、もしかすると高齢になる前に心疾患や脳卒中などで亡くなっているのかもしれません。
重い体重を支えるために膝が痛み、外出が困難で活動量が低下するのも、「肥満」の二次的な問題です。もしダイエットをする場合には、必要な栄養を確保したうえで、筋肉が落ちないようにトレーニングしながら、ゆっくりと体重を落としていくことが大切です。
引用元:https://shuchi.php.co.jp/article/9280