インターネット記事

消えゆく「ビン牛乳」。森永乳業がビンの宅配をやめないワケ

2021年9月、福島県の酪王乳業が全6種類あったビン牛乳の製造を終了した。製造ラインの老朽化や販売不振が原因で、親しみある味が消えるとあり、ネット上では寂しさをつぶやく意見も目立った。

1929年にビン詰め牛乳を販売開始し、現在は家庭やスーパー銭湯などの事業者を相手に、宅配専用のビン牛乳を提供しているのが森永乳業だ。

昭和から平成初期にかけて、どこの家庭にも乳製品メーカーのロゴが描かれた牛乳の宅配ボックスが置かれていた。世代によっては給食の定番として、現代も銭湯の“風呂上がり”の風物詩として親しまれてきたビン牛乳だが、目にする機会は減りつつある。

乳製品メーカー大手がビン牛乳に参入するきっかけが、1928年、明治乳業は「明治の宅配」。公式サイトによると、ビン牛乳を家庭へ届ける牛乳宅配市場でトップシェアを誇る同社の特約店は全国に約3000店舗。少子高齢化でその役割は変わりつつあり、2021年2月からは食事宅配サービス「ワタミの宅食」との連携を開始し、高齢者の“見守り役”としての役割を強化した。

宅配市場はいわゆる“見守り”などの役割から、少子高齢化社会のセーフティネットとして期待する声もある。宅配の利用者は60代以上の女性が7割、契約期間も10年、20年以上と長い人もいる。また、宅配専用の『カラダ強くするヨーグルト』など、30~40代で子育てに励む主婦層の方々に人気の商品もある。

市場調査を手がける矢野経済研究所によれば、2020年度はコロナ禍の影響もあり食品宅配市場全体の市場規模が2兆4969億円で前年度比14.3%増加。コロナ禍の巣ごもり需要は、同社の声を聞くと、プラスマイナス両面の影響があったようだ。

牛乳販売業者などによる業界団体・一般社団法人Jミルクが発表した「牛乳販売店数の推移」によれば、1972(昭和47)年に2万104店あった牛乳販売店は、2016(平成28)年で5964店にまで減少。

かつて、一軒家の軒先で乳製品メーカーのロゴが描かれた「宅配ボックス」をよく見かけた印象があり、近年定着した「置き配」を古くから導入していたのも、宅配牛乳の歴史を感じさせる。

しかし、近年は、都心部を中心に広がるオートロックマンションの存在も配達する上での課題にあるようだ。 最後に、牛乳販売店の減少や住環境の変化などがあってもなお、ビン牛乳の宅配事業を続ける理由を森永牛乳はこう語る。

「ビン牛乳をはじめ、弊社の宅配専用商品を10年、20年と長期で契約し続けてくださっている方々の存在は大きいです。なかには、親子三代で契約されている方もいらっしゃいます。牛乳配達といえば早朝のイメージがあるかもしれませんが、地域によっては、お昼の時間帯に配達させていただいているケースもあります。

一方で、ビンには懐かしさや特別感、安心感や鮮度感といった情緒的価値もあるかと思います。昔ながらの容器ではありますが、こうしたプラスのイメージを人びとに抱いていただくことができる『特別な容器』でもあると思いますので、長らくご愛顧いただいているビン商品で『安心』や『健康』をお届けけできるよう努めていきたいです」

出典:https://bizspa.jp/post-525692/

注目ニュース