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「日帰り温泉」「クルージング」 埼玉・川口の高齢者ギフトに批判も

埼玉県で2番目に多い約60万人が住む川口市で4月から、新型コロナウイルス対策に関連して、65歳以上の高齢者にカタログギフトを配る事業が始まった。

市は「感染予防にご協力いただいている高齢者の皆様へのエール」と位置付けるが、事業の対象外の世代から「高齢者にかたよったバラマキ」との批判が相次ぐなど、波紋が広がっている。対象は4月1日現在で1年以上市内に住んでいる65歳以上の人で、約13万9000人。

公明党の松本進市議(59)は1日、自身のツイッターで党の市議団が事業を要望してきたとし、「東京湾クルーズや日帰り温泉のペアチケット等、約500種類のメニューから選択できます。今後とも健康寿命を延ばす施策を提案して参ります」とアピールした。

事業費は6億5800万円で、全額を市の一般財源でまかなう。事業の実施は市議会で議論されていたが、一般の市民向けに情報が発信されたのは広報4月号など最近になってからで、カタログが届いて初めて事業を知った人が少なくない。

4月3日、川口市で小学生2人を育てるシングルマザーの女性(42)は、同居する母(72)から、ずっしりとしたカタログを見せられた。「高齢者に何かをするのはいい」と思いつつも、「本当に困っている人は他にもたくさんいる」と違和感を拭えない。

ツイッター上では、「応援してほしいのは高齢者の方だけでは無いはず」「なんか川口市バラマキやってるんですけどー」など怒りの投稿が噴き出している。

ランチを食べていた60~70代の女性4人は「(モノで釣れば市政を支持すると)ばかにされている感じ」「本当に困っている人を助けるために、もっと違う方法があるんじゃないか」と口々に語った。

一方、市によると、ギフトには4月12日時点で約2万人の申し込みがあったという。川口市は、東京都心へのアクセスの良さや充実した商業施設が評価され、「本当に住みやすい街大賞 関東ランキング」で2021年まで2年連続1位に輝いた。

奥ノ木市長は今年2月の市長選で、自民党や公明党の推薦を受けて3選を果たした。新人との一騎打ちを大差で制したが、投票率は過去最低の21・67%だった。標準的な投票所1カ所を抽出した年代別投票率は、60代の28・01%が最も高く、70代以上の27・42%が続いた。

国政では、年金受給者約2600万人に一律5000円を給付する与党案が、「近付く参院選目当てのバラマキ」などの批判を受けて白紙に戻ったばかり。著書に「シルバー民主主義 高齢者優遇をどう克服するか」(中公新書)がある八代尚宏・昭和女子大特命教授は、川口市の事業について「感染防止に協力しているのは非高齢者も同じ。コロナに関連付けるなら保育・介護などのエッセンシャルワーカーに振り向けるべきだ」と指摘する。

カタログ方式が現金給付よりも経費がかさむこと、敬老祝い金など特定の年齢層だけへの給付を廃止する傾向に逆行するといった問題点を挙げ、「市民間の分断を引き起こす危険性があり、高齢者の市民も、本当にこうしたシルバー民主主義的な政策を歓迎するだろうか」と疑問を投げかける。

引用元:https://mainichi.jp/articles/20220419/k00/00m/040/036000c

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